ウレタンとは?種類や特徴からウレタンフィルムの製造方法まで詳しく解説
ウレタンとは
ウレタン(urethane)とは、プラスチックの一種であり、官能基のイソシアネート(-NCO)とポリオール(-OH)成分が反応して形成される化合物のことです。身近なところでは、食器洗浄用のスポンジや寝具、住宅の壁の中の断熱材などに使用されています。
正式名称はポリウレタン(polyurethane)といい、伸縮性が高く材料の配合によって硬度のバリエーションが豊かな点が特徴です。
このイソシアネートとポリオールの配合処方や成形方法を変えることで、フォームクッションや塗料、接着剤、合成皮革、繊維(スパンデックス)など様々な形で皆さんの身近なところで活躍しています。
イソシアネートの種類は、大きく脂肪族系と芳香族系の2種類に分類されます。
代表的なイソシアネートの種類を以下に記します。
◆芳香族系
TDI(トルエンジイソシアネート)
MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)
◆脂肪族系
HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)
HDIを使用したウレタンは、TDIやMDIを使用したウレタンと比べて耐候性に優れますが、反応性が若干悪く作業性が悪いことが欠点として挙げられます。
ウレタンの主な種類と特徴
ポリウレタンには発泡させているフォーム状の製品と発泡していない非フォーム状の製品があり、配合処方や成形方法を変えることで様々な特徴を持たせることができます。
フォーム状の製品
ポリオールにイソシアネート、及び発泡剤を加えることでウレタンフォームを製造します。各原料の種類や発泡度合い(連続気泡か独立気泡)によって硬さを調整します。
連続気泡のウレタンフォームは軽量クッションのイメージで、気泡が水を通すので家庭用食器洗浄用のスポンジなどで使用されるのに対して、独立気泡で構成されたウレタンフォームは硬く、タイヤのチューブや水泳補助用具などで使われています。
非フォーム状の製品
非フォーム状の製品として、塗料や接着剤、繊維や合成皮革、エラストマーなどの種類がございますが、代表的なものとしては、エラストマーが挙げられます。エラストマーとは、弾力性に特徴があり、一般的に「ゴム」と呼ばれるもので、車のタイヤなどで使われています。
弊社ではポリウレタンエラストマーで成形したフィルムを製造しており、こちらも上述したフォームと同様で各種組成を変更することで機械的物性などを調整しています。
弊社ではポリエステル系ウレタンフィルム、ポリエーテル系ウレタンフィルムを製造しています。
ポリエステル系ウレタンといっても、多種多様なポリエステルポリオールがあり、イソシアネートも多種多様にありますので、組み合わせにより多様な特徴を持たせています。
例えばイソシアネートとポリオールの反応率を調整することで樹脂の硬さを調整、また、耐熱性を他のポリウレタンと比較して高くすることなどの設計がされています。
ウレタンの主な用途
ウレタンは、その多様な特性を活かして、さまざまな分野で利用されています。
一般的な用途としては、スポンジや断熱材が挙げられますが、それだけにとどまりません。
特に、大倉工業が製造するウレタンフィルムは、自動車部品、医療用テープ、曲面部への転写用基材など、幅広い分野で活用されています。
例えば、自動車の外装用保護フィルムでは、透明性や耐候性を備えた高付加価値製品が提供されています。
このような製品は、車両の美観を保つだけでなく、外部からのダメージを防ぐ役割も果たしています。
さらに、大倉工業では、塗工技術やラミネート技術を組み合わせることで、顧客の多様なニーズに応えています。
これにより、ウレタンフィルムは、単なる素材としてだけでなく、付加価値の高い製品として市場で評価されています。
ウレタンフィルムの製造方法
ウレタンフィルムの製造方法としては主に溶剤キャスト、インフレーション、Tダイキャストなどがございます。
溶剤キャストはウレタン樹脂を溶剤に溶かし、フィルム上に塗工、その後溶剤を乾燥させることでウレタンのフィルムだけが残りフィルム化する方式です。
なお、弊社では以下の2通りの製造方法にて生産を実施しております。
一つはインフレーション方式、もう一つはTダイキャスト方式です。
インフレーション方式
インフレーション方式とは、空気の量と樹脂の押出量で製品の幅、厚みを調整する生産方法です。
インフレーション方式でウレタンフィルムを製造しているのは日本では弊社のみとなります。
特徴は薄膜のウレタンフィルムが作れることが一番大きく、Tダイキャスト方式では難しい最薄8μmまでのフィルムを製造、販売しております。
薄膜のフィルムでもウレタンの伸びの良さ、破れにくい性能が活かされますので、アパレルの透湿防水膜などでもご検討をいただくことも多くございます。
Tダイキャスト方式
Tダイキャスト方式とは、樹脂の押出量とラインスピードで厚みなどを調整する生産方法です。
膜厚制御性能に優れており、均一なフィルムを生産することができます。
弊社では光学フィルムラインも保有しており、その知見、経験を活かした均一な厚みのフィルムの生産が可能です。
ポリウレタンフィルムなら大倉工業に
弊社では約40年前からウレタンフィルムの製造に取り組んでまいりました。
元々はオレフィン系フィルムのインフレーション方式の生産の知見を活かして開発し、2000年代に入りTダイキャスト方式での生産にも取り組んでおります。
お客様にご満足いただける製品をご提供し皆様の暮らしに役立つ製品開発、生産を実施してまいります。
大倉工業が選ばれる理由 REASON
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01 ワンストップ対応で効率化
製膜、延伸、塗工、ラミネート、配合・調合、裁断、そして品質検査まで、一貫して承ります。他社に分散して依頼する必要がなく、プロセスをまとめることで時間短縮とコスト削減を実現します。
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