フィルム延伸とは
フィルム延伸とは、製造されたプラスチックフィルムに特定の機能を付与するための加工方法の一つです。身近な例では、お菓子の袋やインスタント麺の外装用フィルムにこの技術が用いられています。フィルムを延伸することにより、バリア性(酸素透過を防ぐ機能)が向上し、製品の劣化を防ぐ効果があります。また、一方向に延伸することでフィルム分子の配列をその方向に引き伸ばし、その方向への強度を高め、垂直方向には切れやすくするといった工夫も凝らされています。このように、フィルムは延伸されることで、私たちの生活の質を向上させる一助となっています。未延伸フィルムの場合、結晶性樹脂の分子鎖は電気的に引き合い、球状の結晶になっていますが、これを延伸すると分子鎖が密な形で整列し、フィルム特性が大幅に変化します。
延伸フィルムの種類
フィルムの延伸は、縦方向(一般的にMD方向)と横方向(一般的にTD方向)の2方向に大きく分けられます。また、一貫ラインで製造する方法と製膜後別工程で延伸する工程もあります。
一軸延伸
一方向だけにフィルムを延伸する方法です。分子の配列が一方向に引っ張られるため、引っ張られた方向への強度が高まり、その垂直方向へは切れやすいという特徴があります。この特性を利用したものが、レトルト食品や菓子包装に使われるカット性フィルムです。
二軸延伸
縦横両方向にフィルムを延伸する方法です。縦横両方向に引っ張ることで分子配列をバランス良く整列させるため、縦横両方向からの引張りに強くなります。例えば、OPP(延伸ポリプロピレン)は二軸延伸によって作られます。分子をバランス良く規則正しく配列させることで、光の反射を抑えて透明性を高める、分子間の隙間を埋めて酸素や水蒸気の透過率を低減させ、食品の鮮度を長く保つといった効果も期待できます。
延伸フィルムの主な特徴
延伸フィルムは、延伸の仕方によって様々な特徴を持ちます。
強度の向上
延伸加工により、フィルムの引っ張り強度が増します。特に二軸延伸フィルムは縦横ともに高い引っ張り強度を持ちます。これはPPバンドなどの梱包結束材にも利用されています。
耐寒性の向上
例えば、CPP(無延伸ポリプロピレン)が0℃以下で脆くなるのに対し、OPP(延伸ポリプロピレン)は-50℃から120℃まで使用可能であり、耐寒性が向上します。
バリア性の向上
分子構造が密になることで、酸素や水蒸気の透過率が低減し、内容物の品質保持期間が長くなります。
透明性の向上
分子がバランス良く規則正しく配列することで、光の乱反射が抑えられ、透明性が向上します。
耐摩耗性の向上
引っ張りに強いだけでなく、表面が滑らかで平滑なフィルムを製造できるため、耐摩耗性、機械適性が向上します。
熱固定と収縮フィルム
延伸後、引っ張った状態で熱をかけると、その温度以上にならない限り収縮しなくなります。これを熱固定と呼びます。逆に熱固定せずに収縮する性質を利用したものが収縮フィルム(シュリンクフィルム)です。
延伸フィルムの主な用途
延伸フィルムは、私たちの日常生活において多岐にわたる用途で利用されています。
包装分野
インスタント食品や生鮮食品の外包装用フィルム、レジ袋など、食品の鮮度保持や保護のために広く用いられています。特に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムは、袋状にしたものなど包装分野で最も広く使われています。
産業分野
テレビ、スマートフォン、カーナビゲーションなどのディスプレイ内部に使われる光学フィルムとして、目に見えない部分で品質向上に貢献しています。特に、近年では大型ディスプレイが増加しており、大型の延伸フィルムの需要も高まっています。
延伸フィルムなら大倉工業に
高品質な延伸フィルム、特に光学フィルムなどの精密な用途に用いられるものは、クリーンルーム(製造環境中の異物が管理された場所)で製造されることが重要です。これは、フィルムに付着した異物や欠点がディスプレイ画面などに表示されることで、ユーザーのストレスになるのを防ぐためです。
当社ではクリーンルーム(製造環境中の異物が管理された場所)で製造しており、
製膜→延伸の一貫ラインもありますし、製膜、延伸をそれぞれの工程で製造することもできます。
特に直近では大型のディスプレイが増えているため、当社でも大型の延伸フィルムを製造できる設備を導入しております。
光学フィルムの延伸品が必要な場合は是非当社にお声がけください。