位相差フィルムとは?

位相差フィルムとは?

位相差フィルムは、光の波長や偏光の特性を制御するために使用される特殊なフィルムです。主に液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OLED)等の光学機器において、映像の鮮明さや色の再現性を向上させるために欠かせない部品の一つです。
簡単に言うと、位相差フィルムは「光の性質を調整するフィルム」です。これにより、液晶ディスプレイの視認性や色の表現力が大幅に向上します。

位相差フィルムの仕組み

位相差フィルムの基本的な役割は、光の「偏光状態」を制御することです。光は波としての性質を持ち、様々な方向に振動していますが、特定の方向に振動する光を取り出したものを「偏光」と言います。液晶ディスプレイでは、この偏光を適切に制御することで、画面の明るさや色を調整しています。
位相差フィルムは、光が通過する際にその波長の位相をずらす(遅延させる)ことで、偏光の状態を変化させます。この仕組みにより、液晶ディスプレイの視野角や色の再現性が向上します。

位相差フィルムの用途

位相差フィルムは、以下のような分野で広く活用されています。

(1) 液晶ディスプレイ(LCD)

液晶ディスプレイでは、偏光板と組み合わせて使用されます。位相差フィルムを使用することで、視野角が広がり、どの角度から見ても鮮明な映像を楽しむことができます。また、色のにじみやコントラストの低下を防ぐ役割も果たします。

(2) 有機ELディスプレイ(OLED)

スマホ等でよく使われている有機ELディスプレイでも位相差フィルムは大活躍です。自発光であるため、位相差フィルムは不要と思われがちですが、有機ELディスプレイでは外光の反射防止機能の目的で使用されます。

(3) 偏光サングラスや3Dメガネ

位相差フィルムは、偏光サングラスや3Dメガネにも使用されています。これにより、特定の光をカットしたり、立体的な映像を楽しむことができます。

位相差フィルムの種類

位相差フィルムには、用途や目的に応じて様々な種類があります。以下は代表的なものとなります。

(1) λ/4(4分の1波長)フィルム

光の波長を4分の1だけ遅延させるフィルムで、円偏光を直線偏光に変換する(またはその逆)などの用途に使用されます。

(2) λ/2(2分の1波長)フィルム

光の波長を2分の1だけ遅延させるフィルムで、偏光の方向を90度回転させる用途に使用されます。

(3) 広視野角フィルム

液晶ディスプレイの視野角を広げるために特化したフィルムです。特にテレビやスマートフォンなど、視野角が重要なデバイスで使用されます。

位相差フィルムの使われ方

【LCD視野角補償の仕組み】

液晶ディスプレイ(LCD)は2枚の偏光板で液晶(LC)をサンドイッチした構造をしています。この構造上の特徴から、液晶ディスプレイは画面を見る位置によって見え方が異なってしまうという問題が生じます。
リビングで家族と楽しむTV(液晶ディスプレイ)には致命的な問題です。しかし、これを解決するのが位相差フィルムなのです。

例えば、VAタイプの液晶ディスプレイに使用される液晶は液晶自体が位相差を持っています。この液晶の持つ位相差により、正面と横からで光の漏れが変わり色合いが変わってしまいます。
そこで、位相差フィルムを貼り合わせることで、液晶の持つ位相差をキャンセルします。そうすることで、どの角度から見ても光漏れの無い、きれいな色合いで見ることが出来ます。
これが、位相差フィルムによる視野角補償です。

また、位相差があると波長ごとに異なる強度の光が透過する為、色味の変化が起こります。
こちらの比較写真のように正面からの見た目は同じでも斜めから見ることで色味が変わります。これをコントロールするにも位相差フィルムは活躍します。

OLED反射防止の仕組み

位相差フィルムは有機ELディスプレイ(OLED)にも活用されています。
LCDと異なり、OLEDは自発光です。その為、位相差を持つ液晶は使用されていません。では、なぜOLEDでも位相差フィルムが使用されるのでしょうか?
少し難しいですが、その使われ方を見てみましょう。

太陽光や室内灯の外光がディスプレイに入るところから考えてみます。外光は最初に偏光板(縦波のみ通す仕様)を通ることで縦波のみが通過し、直線偏光と言われる状態の光になります。
この光がλ/4板と呼ばれる位相差フィルムを通ることで円偏光と言われる状態の光になります。この円偏光は反射することでその回転方向が逆になる位相反転と言われる現象を起こします。
パネル内で位相反転した光は、再度、λ/4板を通ることで円偏光から直線偏光に戻されます。この時、位相反転しているために反射した光は入光した際と直角の角度を持つ直線偏光(横波)に戻ってしまいます。
結果、最表層の偏光板(縦波のみ通す仕様)でシャットアウトされ、外から入った光は内部から反射して出ることがなくなるという仕組みです。(反射防止)
では、この機能が無いスマホを考えてみましょう。
反射防止機能が無い場合、太陽光や室内灯と言った明るい環境で使用した場合にスマホ内部のディスプレイ基盤が見えてしまいます。
皆さんが毎日使っているスマホにも位相差フィルムが必要であることが分かっていただけたでしょうか?

位相差フィルムの課題と未来

位相差フィルムは多くのメリットを持つ一方で、製造コストや環境負荷といった課題もあります。現在、より高性能で環境に優しいフィルムの開発が進められており、次世代ディスプレイや新しい光学技術への応用が期待されています。
位相差フィルムは、液晶ディスプレイや光学機器において重要な役割を果たす技術です。その仕組みや用途を理解することで、私たちの身の回りのデバイスがどのように進化しているのかを知ることができます。今後も技術革新が進む中で、位相差フィルムの可能性はさらに広がっていくでしょう。

大倉工業の役割

位相差フィルムには色々な作り方があります。ポリマーフィルムを延伸することで位相差機能を付与する方法、位相差部材をコーティングすることで位相差機能を付与する方法、またそれらを複数層組み合わせることで狙いの位相差を達成します。
大倉工業は、様々な原材料でのフィルム製膜、各種延伸による位相差付与、コーティング装置によるコーティング位相差付与、ラミネーターによる複数層の貼合ができます。
これらのコア技術を元に様々な手法で、位相差の設計を提案することができます。反射防止、視野角補償、高精細などに貢献できる延伸ポリマー単層フィルムやコーティングフィルムを今後も提供していきます。

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